7.動き出す 河川敷で獄寺と勝負を付けた後、たちは綱吉の家へ向かった。まだ会ったことのないランボや了平、ハルにも会ったらどうかというリボーンの提案で、沢田家に集まることになったのだ。リボーンが先に手を回しておいたのであろう、綱吉たちが家に帰ったときにはすでにみんな集合していた。 「ただいまー」 「ツナさん、みなさん、おかえりなさい!」 玄関のドアを開けると、さっそくハルや京子が出迎えてくれた。リビングにはお茶やお菓子が準備されていて、なにやらパーティーのようになっている。ほとんどのメンバーが集まったリビングはわいわいと賑やかだ。そんな中、リボーンがパンと手を鳴らした。その音一つだけで、全員の視線がリボーンに集まった。 「みんなよく来たな。もう知ってるやつもいると思うが、今日は新しい仲間を紹介すんぞ。ほらツナ、しっかり紹介しろよ」 綱吉に司会が渡され、彼はえぇっと声を詰まらせた。それからを手招きして呼ぶと、彼女の紹介をつっかえながらした。 「えっと……彼女は。つい最近、イタリアから来たんだ」 「です、よろしく」 がぺこりとおじぎをすると、歓迎の拍手が鳴った。嬉しそうに笑うと、は早速みんなの中へとけて行った。ハルと京子、それにイーピンとランボが彼女を囲む。ランボがボンゴレリングをかざして見せると、は目を丸くして驚いた。五歳の子どもが守護者だとは想像していなかったらしい。 「これでも結構強かったりするんだよ。俺はランボみたいなチビにはあんまり戦わせたくないけど……」 それでも守護者だから、と綱吉は苦笑した。 「まだ子どもだもんね。でも、凄いんだね、ビックリしたわ」 が頭を撫でると、ランボは得意になってボンゴレリングをかざしながら床を走り回った。それを追いかけるイーピンに、二人の仲裁をするフウ太の様子がたちを和ませる。 「そういえば、」 ふと、ハルが思い出したように口を開いた。 「ちゃんは、どうして日本に来たんですか?」 「そういえば聞いてないな。こんな変な時期に転校してきた理由はなんなのだ?」 言い出したハルや亮平だけでなく、ビアンキや山本も気になるらしく、に視線が集まる。この質問に慌てたのはよりも綱吉で、開こうとしたの口を綱吉の手が覆った。 「むぐっ」 「あ、あの!は……そう、交流に来たんだ!ボンゴレのイタリア支部から、俺たちのところに。同世代だからさ!」 この前獄寺には普通に話していたのに、今日は慌てるのはどうしてなんだろうとは綱吉の視線の先を追った。 視線の先にいたのは、や綱吉と同じクラスの女の子――京子だった。 綱吉は京子ちゃんが好きなんだ、とは理解した。綱吉が頑なに婚約に反対した一番の理由は京子が好きだからというのを知って、の胸がちくりと痛んだ。 ――まだ会って少ししか経ってないのに、やっぱり私、綱吉のこと……? 視線の先の京子は綱吉の慌てぶりを不信に思う様子もなく、いつもと同じ笑顔を浮かべていて、どうやら綱吉の片思いらしいことが分かる。 「……そういうことだから、みんなよろしくね。色々教えてね!」 とりあえず話をややこしくしないために、ここは綱吉に合わせておく。それに、本当のことを言って綱吉に嫌われてしまうのははどうしても嫌だった。 もっと綱吉のことを知ってみないと、どうなるか分からない。それに、もっと自分のことを知ってもらいたかった。 話を合わせてもらったことにほっとしている綱吉をは気づかれないように見つめた。 |
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